20240124 ドル円、植田日銀総裁による「マイナス金利解除しても極めて緩和的な環境が続く」発言で急反発

サマリー

⚪昨日は円安優勢の展開に。ドル円は148円台で底堅さを維持。本日以降は米欧の経済指標が焦点に。まずは1月の米欧PMI速報値に対する反応に注目。

⚪23日の円相場は円安優勢の展開に。植田総裁の会見中に投機的な円買いが見られ、ドル円は147.00をブレイクする局面があった。しかしすぐに148円台へ反発。上値トライの基調は変わらず。

⚪ドル円、日銀会合後に146.99まで下落するも、米金利上昇等に米国時間午後にかけ148.70まで急伸
引けにかけて小反落するも148円台前半での推移


〇ユーロドル、欧州圏消費者信頼感の予想下回る内容や米長期金利の上昇に1.08台前半に下落


〇ドル円、主要テクニカルポイントの上側で推移、強い買いシグナルも複数同時点灯、地合い強い
〇ファンダメンタルズも日米金融政策の方向性の違いとそれに伴う円キャリーの長期化期待がサポート
〇引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:147.75ー149.25

海外時間のレビュー

23日(火)のドル円相場は下落後に急反発。(1)日銀金融政策決定会合で金融緩和政策の現状維持が決定されたこと(※フォワードガイダンスの変更もなし)や、(2)展望リポートで2024年度の消費者物価指数(CPI、除く生鮮食品)見通しが前回10月時点の+2.8%から+2.4%へ下方修正されたこと、(3)上記1、2を背景に日銀によるマイナス金利解除時期の後ずれ観測が高まったこと等が支援材料となり、アジア時間正午にかけて、一時148.55まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)日経平均株価の冴えない動き(リスク回避の円買い圧力)や、(5)植田日銀総裁による「先行きの不確実性なお高いものの見通し実現の確度少しずつ高まっている」とのタカ派的な発言(マイナス金利解除の地均しとも受け止められる発言)が重石となり、欧州時間朝方にかけて、安値146.99まで急落しました。

もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(6)植田日銀総裁より「マイナス金利解除しても極めて緩和的な環境が続く」とのハト派的な発言が伝わったことや、(7)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(8)短期筋のショートカバーが支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値148.70まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間1/24午前5時40分現在)では、148.40前後で推移しております。

23日(火)のユーロドル相場は上値の重い展開。欧州時間朝方にかけて、高値1.0917まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)ECB理事会を控えたポジション調整や、(2)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(3)ユーロ圏1月消費者信頼感速報値(結果▲16.1、予想▲14.3)の市場予想を下回る結果、(4)直近安値・下抜けに伴う仕掛け的なユーロ売り・ドル買いが重石となり、米国時間朝方にかけて、安値1.0821(12/13以来、約1ヵ月半ぶり安値圏)まで急落しました。米国時間午後にかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間1/24午前5時40分現在)では、1.0844前後で推移しております。

本日の見通し

ドル円は一時146.99まで急落するも、米国時間午後にかけて148.70まで急反発に転じる力強い動きとなりました(下値の堅さを再確認)。日足ローソク足が全ての主要テクニカルポイントの上側に位置していることや、強い買いシグナル(一目均衡表三役好転、21日線と200日線のゴールデンクロス、フィボナッチ61.8%戻しなど)が複数同時点灯していること、日足のみならず下位足(60分足や240分足)でも強い買いシグナルが点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「極めて強い」と判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる利下げ開始時期の後ずれ観測(米長期金利に上昇圧力→米ドル指数は昨年12/13以来の高値圏へ急上昇)や、(2)日銀による金融緩和の長期化観測(植田日銀総裁が「先行きの不確実性なお高いものの見通し実現の確度少しずつ高まっている」と発言したことで3月や4月会合でのマイナス金利解除期待が高まったものの、同氏は同時に「能登半島地震の影響を見極める必要がある」「マイナス金利解除しても極めて緩和的な環境が続く」「大きな不連続性が発生しないようにしていきたい」と、例えマイナス金利を解除したとしてもYCCなど金融緩和措置を継続する可能性を示したため、市場は「円売り」で反応)、(3)上記1、2を背景とした日米金融政策の方向性の違いとそれに伴う円キャリートレードの長期化期待(日米金利差拡大に着目したドル買い・円売り)、(4)新NISAに絡む本邦個人投資家の恒常的なドル買い・円売り観測など、ドル円相場の続伸を連想させる材料が揃っています。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続(今月中に心理的節目150.00を突破し、昨年高値151.91を試す展開)をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は米MBA住宅ローン申請指数(21:00)や、米1月製造業・非製造業PMI速報値(23:45)、米5年債入札(03:00)などが予定されております。

◼️昨日の植田総裁の会見について。NHKが重要な項目に分けて簡潔にとめています。ご参考まで。

【詳細】日銀 植田総裁 “2%の物価目標少しずつ確度高まる”

【詳細】日銀 植田総裁 “2%の物価目標少しずつ確度高まる” | NHK
【NHK】日銀は、23日まで開いた金融政策決定会合で、大規模な金融緩和策を維持することを決めました。日銀は、2%の物価安定目標が賃…

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