20231206 朝 ドル円、上下しつつも方向感に欠ける展開。市場は早くも週末の米雇用統計待ちの様相へドル円、上下しつつも方向感に欠ける展開。市場は早くも週末の米雇用統計待ちの様相へ

ドル円(USDJPY)の日足チャート。昨日の外為市場は米ドル買いと円買いが交錯する展開に。ドル円はリトレースメント38.2%の水準を意識する状況が続く。しかし10日線すらトライ出来ない状況は、地合いの弱さを示唆。今日は、11月のADP雇用統計が材料視される可能性あり。

ドル円、米10月JOLT雇用動態調査の予想を下回る結果に一時146.56まで急落
〇その後は同時に発表されたISM非製造業指数の好調等を材料に買い戻され147.38まで反発
〇ユーロドルECB関係者のハト派発言とドイツ債利回り低下等に1.08割れ
〇ドル円、日足が主要テクニカルポイントの下側で推移、強い売りシグナルも点灯、テクニカルの地合弱い
〇ファンダメンタルズは日米金融政策の方向性の違いと円キャリートレードの継続期待がドル円をサポート
〇引き続きドル円相場の持ち直しを、メインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:146.75ー147.75

海外時間のレビュー

5日(火)のドル円相場は上下しつつも方向感に欠ける展開。(1)アジア株の冴えない動き(リスク回避の円買い圧力)や、(2)米10月JOLT雇用動態調査(結果873.3万件、予想930.0万件)の市場予想を下回る結果、(3)上記2を背景とした米長期金利の急低下(CMEが提供するFedWatchツールによると、来年3月の利下げが57.1%織り込まれる動き→米10年債利回りが9/1以来の低水準となる4.16%へ急低下)が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値146.56まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)前日12/4に記録した約3カ月ぶり安値146.23を背にした押し目買い圧力や、(5)米11月ISM非製造業景況指数(結果52.7、予想52.3)の市場予想を上回る結果、(6)短期筋のショートカバー、(7)対ユーロでのドル買い圧力が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値147.38まで反発しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間12/6午前6時00分現在)では、147.22前後で推移しております。

5日(火)のユーロドル相場は冴えない動き(5営業日連続陰線)。アジア時間午後にかけて、高値1.0848まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)シュナーベルECB専務理事による「インフレ動向は朗報でコア価格の低下は顕著」「追加利上げの可能性は小さい」とのハト派的な発言や、(2)クロアチア中銀ブイチッチ総裁による「基礎的なシナリオでは追加利上げはない」とのハト派的な発言、(3)上記1、2を背景としたECBによる早期利下げ観測の高まり(ドイツ10年債利回りが5/12以来の低水準となる2.23%へ急低下)、(4)欧米金利差に着目したユーロ売り・ドル買い圧力が重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.0778(11/14以来の安値圏)まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間12/6午前6時00分現在)では、1.0797前後で推移しております。尚、昨日発表されたユーロ圏10月生産者物価指数(結果▲9.4%、予想▲9.5%)は市場予想を上回る結果となりましたが、市場の反応は限られました。

本日の見通し

ドル円は安値圏での冴えない動きが続いています。日足ローソク足が主要テクニカルポイントの下側で推移していることや、市場参加者に注目されていた90日移動平均線や一目均衡表雲下限を下方ブレイクしたこと、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」が点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます。但し、ファンダメンタルズ的に見ると、(1)米FRBによる早期利下げ観測の後退期待(パウエルFRB議長をはじめ多くの米当局者は「利下げ議論は時期尚早」とのスタンスを継続→市場の利下げ織り込みは行き過ぎ感が否めず、早晩米長期金利が上昇に転じる可能性あり)や、(2)日銀による金融緩和の長期化観測(昨日発表された東京都区部の消費者物価指数は市場予想を下回る結果→日銀による金融緩和の早期脱却観測の後退)、(3)上記1、2を背景とした日米金融政策の方向性の違いとそれに伴う円キャリートレードの継続期待など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の持ち直しをメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は米11月ADP雇用報告や米10月貿易収支などの米経済イベントが予定されているものの、週末に今週のメインイベントである米雇用統計を控えていることもあり、様子見ムードの影響で方向感を見出すには至らないと考えられます。

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