ドル円、約3カ月ぶり安値更新後に急反発。米長期金利の動向に振らされる神経質な展開
〇ドル円、アジア時間に146.23まで下落後、米国時間午後にかけ147.49まで急伸
〇急ピッチな下落に対する反動買い、米金利上昇に伴うドル買い圧力等が背景
〇ユーロドル、欧州指標不冴え、ECB関係者のハト派発言等に1.08台前半に下落
〇ドル円、日足が主要テクニカルポイントの下側で推移、強い売りシグナルも点灯、テクニカルの地合弱い
〇ファンダメンタルズは日米金融政策の方向性の違いと円キャリートレードの継続期待がドル円をサポート
〇引き続きドル円相場の持ち直しを、メインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:146.75ー148.00
⚪昨日の外為市場は「米金利の反発→米ドル買い優勢」の展開に。ドル円は147円台へ反発する一方、ユーロドルは1.08の維持が焦点に。今日の注目材料は米国の経済指標-JOLTS求人件数(10月)とISM非製造業景況指数(11月)
海外時間のレビュー
週明け4日(月)のドル円相場は堅調な値動き。アジア時間朝方にかけて、安値146.23(9/11以来、約3カ月ぶり安値圏)まで下げ幅を広げるも、一巡後に下げ渋ると、(1)急ピッチな下落に対する反動買い(自律反発)や、(2)米金利上昇に伴うドル買い圧力(米10年債利回りが前週末金曜日に記録した4.19%から4.30%へ急上昇→日米金利差拡大に着目した円キャリートレードの再開期待)、(3)米主要株価指数の堅調推移(年初来高値圏で底堅く推移→リスク選好のドル買い・円売り)、(4)短期筋のショートカバーが支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値147.49まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間12/5午前5時40分現在)では、147.30前後で推移しております。尚、昨日発表された米10月製造業受注(結果▲3.6%、予想▲3.0%)は市場予想を下回る結果となりましたが、ドル円相場への影響は限定的となりました。
週明け4日(月)のユーロドル相場は冴えない動き。アジア時間朝方にかけて、高値1.0895まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)ユーロ圏12月投資家信頼感指数(結果▲16.8、予想▲15.6)の市場予想を下回る結果や、(2)デギンドスECB副総裁による「最近のインフレ指標の低下は良いニュースでポジティブサプライズ」とのハト派的な発言、(3)ECBによる早期利下げ観測の台頭(市場はECBによる来年3月の利下げ開始を85%程度まで織り込む動き→ドイツ10年債利回りが7/19以来の低水準へ急低下)、(4)米金利上昇に伴うドル買い圧力(米10年債利回りが前週末金曜日に記録した4.19%から4.30%へ急上昇)、(5)上記3、4を背景とした欧米金利差拡大が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値1.0804(11/14以来の安値圏)まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間12/5午前5時40分現在)では、1.0834前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は11/13に記録した年初来高値151.91をトップに反落に転じると、昨日は一時146.23(9/11以来、約3カ月ぶり安値圏)まで急落しました(海外勢参入後に持ち直すも戻りは鈍い)。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日移動平均線、90日移動平均線、一目均衡表転換線、基準線、雲下限、ボリンジャーミッドバンド)の下側で推移していることや、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」が点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます。
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、(1)米FRBによる金融引き締め長期化観測(ウォラーFRB理事は先週、早期利下げの可能性を示唆したものの、「インフレがさらに数カ月間低下し続ければ」という条件付きであるため、市場の反応にはやや行き過ぎ感あり。事実、パウエルFRB議長、サンフランシスコ連銀デイリー総裁、ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁などは「利下げ議論は時期尚早」とのスタンスを継続)や、(2)日銀による金融緩和の長期化観測(日銀メンバーはマイナス金利脱却議論は時期尚早で粘り強く金融緩和を続けるスタンスを継続)、(3)上記1、2を背景とした日米金融政策の方向性の違いとそれに伴う円キャリートレードの継続期待、(4)株式市場の堅調推移とそれに伴うリスク選好の円売り圧力(米ダウ平均株価が年初来高値圏で底堅く推移)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。
本日予定されている東京区部11月消費者物価指数が市場予想を下回る場合や、米10月JOLT雇用動態調査および米11月ISM非製造業景況指数が市場予想を上回る場合には、日米金利差拡大と米株上昇の組み合わせで、ドル円相場がもう一段上値を伸ばすシナリオも想定されるため、当方では引き続き、ドル円相場の持ち直しをメインシナリオとして予想いたします。
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