⚫昨日は米ドル安を受け、ドル円はあっさりと149円割れ。安値148.10まで下落。ドル円の下落を受け、主要なクロス円も円高優勢の展開に。外為市場はトレンド転換の可能性を意識する局面にあり。
⚫ドル円が私たちが注目しておりましたサポート帯を先週金曜日に下抜け。
短期的なトレンドが転換した可能性があります。
今後の円高の可能性について。
◆ドル円のサポート帯
「ドル円チャート重要な変化あり!」と題して先週木曜夜、次のように解説させていただきました。
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ドル円の重要なサポート帯について、これまで149円台前半と位置付けてきましたが、ちょっと目線を上げたいです。今週の為替変動を受けて、150円台前半に新しく相場の節目が形成されています。今後もし、その節目を下方にブレイクした場合には、ようやく、これまでの円安トレンドが(少なくともここ数週間の短期的な円安トレンドが)終わって一旦、調整局面(円高局面)に入ることが想定されます。
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その後しばらくは150円台前半の節目で下支えされたり反発する展開が見られましたが
金曜夜に、節目を下抜けて、少なくとも短期的なトレンドは円高に転換しました。

週明け20日(月)のドル円相場は大幅下落。
ドル円、米感謝祭前のポジション調整主導で大幅下落。約1ヵ月半ぶり安値圏へ
〇ドル円、米国時間朝方にかけ148.10まで急落
〇米感謝祭を控えたポジション調整、米金利低下等が引き金となりロスカットを巻き込む
〇ユーロドル、米金利低下、欧州株の堅調等に1.0953まで上昇
〇ドル円、主要テクニカルポイントを下抜け、買いシグナル「三役好転」も消失、地合い悪化
〇目先は一目均衡表の「雲」上限を割り込むか注目
〇ファンダメンタルズはドル円買い材料多く、あくまで米感謝祭前のポジション調整が主因か
〇一巡後の持ち直し(底固め後の急反発)をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:147.75ー149.25
海外時間のレビュー
週明け20日(月)のドル円相場は大幅下落。(1)本邦輸入企業の5・10日に絡むドル買い・円売りや、 (2)日経平均株価の堅調推移(約33年ぶり高値を更新→リスク選好の円売り圧力)が支援材料となり、アジア時間朝方にかけて、高値150.00まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、 (3)米感謝祭(Thanksgiving Day)を控えたポジション調整(円売りポジションの解消)や、(4)米金利低下に伴うドル売り圧力(日米金利差縮小に伴う円キャリートレードの解消)、(5)対人民元でのドル売り圧力(ドル円連れ安)、(6)日経平均株価の急反落(リスク選好ムード後退→リスク回避の円買い再開)、
(7)短期筋のロスカット(心理的節目149.00を割り込んだことで短期筋のストップSELL誘発)が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値148.10(10/3以来の安値圏)まで下落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(8)急ピッチな下落に対する反動買い(自律反発)や、(9)イエレン米財務長官による「米国では食品を含む一部の重要な価格が依然として上昇している」とのタカ派的な発言、(10)リッチモンド連銀バーキン総裁による「インフレは長期にわたって物価上昇を促す頑固なものとして引き続き注視」とのタカ派的な発言が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間11/21午前5時40分現在)では、148.35前後で推移しております。
週明け20日(月)のユーロドル相場は堅調な値動き。アジア時間朝方にかけて、安値1.0897まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)米金利低下に伴うドル売り圧力や、(2)欧州株の堅調推移、(3)ベルギー中銀ウンシュ総裁による「市場は追加利上げの可能性を軽視している」「市場による利下げ催促が逆に利上げの可能性を高めている」とのタカ派的な発言、(4)欧州債利回り上昇に伴うユーロ買い圧力、(5)対人民元でのドル売り圧力、(6)スペイン中銀デコス総裁による「利下げについて話し始めるのは完全に時期尚早だ」とのタカ派的な発言が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値1.0953(8/15以来、約3カ月ぶり高値圏)まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間11/21午前5時40分現在)では、1.0946前後で推移しております。尚、昨日発表されたドイツ10月生産者物価指数(結果▲0.1%、予想±0.0%、※前月比)は市場予想を下回る結果となりましたが、ユーロ売りでの反応は限定的となりました。
本日の見通し
ドル円は米感謝祭前のポジション調整(円ショートの解消)が継続し、一時148.10(10/3以来の安値圏)まで急落しました。この間、日足ローソク足が主要テクニカルポイント(一目均衡表転換線や基準線、21日移動平均線やボリンジャーミッドバンド)を下抜けした他、遅行線の26日前ローソク足・下方ブレイクを経て強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」が消失するなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化を印象付けるチャート形状となりつつあります。目先は市場参加者に意識されている一目均衡表雲上限を割り込むことができるか否かに注目が集まります。
同水準を下抜けできれば、ロング勢のロスカット主導でもう一段下げ幅を広げる恐れもあるため警戒が必要でしょう。但し、ファンダメンタルズ的に見れば、(1)米FRBによる金融引き締め長期化観測(米FRB高官は依然としてインフレリスクへの警戒姿勢を緩めず→FF金利の「より高く・より長く」シナリオの残存)や、(2)日銀による金融緩和の長期化観測(先週発表された本邦の第3四半期GDP速報値は市場予想を大幅に下回る結果→植田日銀総裁からも「粘り強く金融緩和を続ける」「一概に円安が経済にマイナスとはいえない」との発言あり→早期マイナス金利脱却観測の後退)、(3)上記1、2を背景とした日米金融政策の方向性の違い(日米金利差拡大に着目した円キャリートレードの継続期待)、(4)株式市場の堅調推移(伝統的金融市場のリスクオン再開→リスク選好の円売り継続)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。
足元の下落はあくまで米感謝祭前のポジション調整が主因と見られることから、当方では引き続き、一巡後の持ち直し(底固め後の急反発)をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は米10月シカゴ連銀全米活動指数や、米10月中古住宅販売件数、FOMC議事要旨(10/31ー11/1開催分)に注目が集まります。
本日の予想レンジ:147.75ー149.25
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