20231110 朝 切り抜き

タカ派なパウエル議長発言を受けて151円台半ばへ急上昇。年初来高値突破が視野に

ドル円チャート予測

見通しは変わりません。           長期的には日米経済を考慮しますと円安見通し継続。                    短期的にもチャート分析の観点で長らく円安トレンドが継続中。
円安トレンドが続いている以上、また高値を更新する可能性はあるとの見方。
(今年の高値151円70銭。去年の高値151円90銭)                  注意すべきは、円高方向の転換ポイント。
現在149円台前半の水準にそのポイントが位置しています。

現行水準からだいぶ距離がありますが、
もし何らかの要因で円高への動きが強まった場合、
まずその149円台前半が非常に注目されます。

サマリー

ドル円、米国時間午後にかけ151.40まで急伸
〇植田総裁の大規模金融緩和継続発言、パウエル議長他FRB関係者のタカ派発言等が背景
〇ユーロドル、米長期金利の急反発に1.066台まで軟化
〇ドル円、日足ローソク足が4日連続で陽線を記録、強い買いシグナルも揃い、地合い極めて強い
〇ファンダメンタルズも日米金融政策の方向性の違いがドル円をサポート
〇引き続き、ドル高・円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:150.80ー152.00

ドル円、タカ派なパウエル議長発言を受けて151円台半ばへ急上昇。年初来高値突破が視野に(11/10朝)

海外時間のレビュー

9日(木)のドル円相場は堅調な値動き。欧州時間朝方にかけて、安値150.77まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、

(1)日銀による金融緩和の長期化観測(昨日公表された日銀金融政策決定会合の「主な意見」にて「粘り強く金融緩和を継続する必要性」が示されると共、植田日銀総裁からも「今後数カ月のインフレ見通しにはいくつかのリスクがあるため私たちは慎重になる必要がある」とのハト派的な発言)や、                (2)上記1を背景とした円キャリートレードの継続期待、                (3)米新規失業保険申請件数(結果21.7万件、予想21.8万件)の良好な結果、      (4)ボウマンFRB理事による「さらなる利上げ必要になるだろう」とのタカ派的な発言、 (5)リッチモンド連銀バーキン総裁による「米国のインフレは依然として高過ぎる」とのタカ派的な発言、

(6)セントルイス連銀パエゼ暫定総裁による「高金利がしばらく続くと予想する」「インフレ鈍化の進展が鈍った場合に備えて金利をさらに引き上げる用意をしておくべき」とのタカ派的な発言、                   (7)パウエルFRB議長による「さらなる引き締めが適切になれば躊躇しない」「米経済は構造的に利上げに対して強靱かもしれない」とのタカ派的な発言、                (8)米30年入札の低調な結果、       (9)米長期金利の急上昇(米FRBによる利下げ開始時期の後ずれ観測→米10年債利回りが4.47%から4.65%へ急上昇)が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値151.40まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間11/10午前6時00分現在)では、151.38前後で推移しております。

9日(木)のユーロドル相場は冴えない動き。 米国時間朝方にかけて、高値1.0726まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、     (1)欧米金融政策の方向性の違いに着目した構造的なユーロ売り・ドル買いや、     (2)欧州経済の先行き不透明感、     (3)米当局者(ボウマンFRB理事、リッチモンド連銀バーキン総裁、セントルイス連銀パエゼ暫定総裁、パウエルFRB議長)による相次ぐタカ派発言、                 (4)米30年債入札の低調な結果、     (5)米長期金利の急上昇が重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.0660まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、現在では、1.0664前後で推移しております。

本日の見通し

ドル円は11/3に記録した安値149.20をボトムに反発に転じると、昨日は一時151.40(11/1以来の高値圏)へと急伸しました。

日足ローソク足が4日連続で陽線を記録していることや、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「強気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の上昇トレンド」が揃っていること、日足のみならず1時間足・4時間足・週足でも強い買いシグナルが点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「極めて強い」と判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、  (1)米FRBによる金融引き締め長期化観測(昨日はパウエルFRB議長よりタカ派的な発言あり→FF金利先物市場で来年の利下げ開始時期の織り込みが5月から6月へ後ずれ→米長期金利急上昇→米ドル買い)や、          (2)日銀による金融緩和の長期化観測(植田日銀総裁は連日で金融緩和を粘り強く続ける姿勢を強調→円キャリートレードの継続期待→ドル円・クロス円に上昇圧力)、         (3)上記1、2を背景とした日米金融政策の方向性の違い(日米金利差に着目したドル買い・円売り)など、ドル円相場の続伸を連想させる材料が揃っています(政府・日銀が為替介入に踏み切りづらいこともドル買い・円売りをもたらす背景の一因)。

本日は5・10日要因でアジア時間帯にドル買い需要が高まる可能性があるため、引き続き、ドル高・円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします(10/31に記録した年初来高値151.74や、昨年高値151.95を早期に突破するシナリオを想定)。             尚、本日はダラス連銀ローガン総裁講演や、米11月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値、米10月財政収支が予定されています(※米国はベテランズデーで祝日となるものの、米株・米債・商品など金融市場は通常取引)。

本日の予想レンジ:150.80ー152.00

⚪ドル円(USDJPY)の日足チャート。    日本時間午前3時以降、米長期ゾーンの利回りが上昇。そして米ドル買い優勢の展開に。米ドル買いにサポートされ、ドル円は昨日取り上げたフィボナッチ・エクステンション76.4%の水準151.37レベルまで上昇する局面あり。

パウエル発言より

パウエルFRB議長の言動について。要約すれば、データを精査しながら慎重に事をを進めていく、とのこと。悩ましいのは米金利の反応

先週のFOMC後のパウエル会見では米金利が低下で反応。しかし、新味に欠ける今回の発言に対しては上昇で反応したこと。そしてS&P500指数が下落。金利にらみの展開が続く米国株。それは米ドル相場も同じ。

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