20231107 朝 切抜き

ドル円、植田総裁によるハト派的な発言と米金利上昇で節目150円を回復

〇ドル円、植田日銀総裁のハト派発言、米金利上昇に150円台を回復
〇ユーロドル、欧州指標の好調に1.0756まで上昇後、米金利上昇に1.0720レベルに反落
〇ドル円、昨日の上昇で基準線・21日線リンジャーミッドバンドを上抜け、地合い強い
〇ファンダメンタルズも日米金融政策の方向性の違い(円キャリーの再開期待)がドル円を支持
〇ドル高・円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:149.50ー150.50

⚪米金利の低下が一服し、昨日の外為市場は米ドル買い優勢の展開に。ドル円は150.08まで反発する局面あり。一方、ユーロドルは1.0750レベルで上昇が止められる展開に。今日はRBAイベントと豪ドル相場の反応に注目。

⚪今後、米債市場のメインテーマは、インフレと金融引き締めから「景気」にシフトしていくでしょう。その景気動向を考える上で企業業績の動向は重要な指標の一つに。

海外時間のレビュー

週明け6日(月)のドル円相場は堅調な値動き。アジア時間朝方にかけて、安値149.25まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)日経平均株価の堅調推移(前営業日比758.59円高の急上昇→リスク選好の円売り圧力)や、(2)円金利低下に伴う円売り圧力、(3)植田日銀総裁による「イールドカーブコントロールの枠組みのもとで粘り強く金融緩和を継続し、経済活動を支え賃金が上昇しやすい環境整えることが政策運営の基本」「現時点では物価安定の目標の持続的・安定的な実現を十分な確度をもって見通せる状況には尚至っていない」とのハト派的な発言、(4)米金利上昇に伴うドル買い圧力が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値150.01まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間11/7午前5時30分現在)では、149.98前後で推移しております。

週明け6日(月)のユーロドル相場は上昇後に反落。(1)米金利低下に伴うドル売り圧力や、(2)ドイツ9月製造業受注(結果+0.2%、予想▲1.5%)の市場予想を上回る結果、(3)ドイツ10月非製造業PMI確報値(結果48.2、予想48.0)の市場予想を上回る結果、(4)ユーロ圏11月投資家信頼感指数は(結果▲18.6、予想▲22.2)の市場予想を上回る結果、(5)欧州債利回り上昇に伴うユーロ買い圧力が支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、高値1.0756まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(6)米長期金利の急上昇(米10年債利回りが前週末金曜日に記録した4.48%から4.67%へ急上昇)が重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.0720まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間11/7午前5時30分現在)では、1.0722前後で推移しております。尚、昨日はオーストリア中銀ホルツマン総裁より「必要に応じて再び利上げできるように準備しておかなければならない」とのタカ派的な発言が見られましたが、市場の反応は限定的となりました。

本日の見通し

ドル円は10/31に記録した年初来高値151.74をトップに反落に転じると、前週末金曜日に一時149.20まで急落しましたが、昨日は再び150円の大台を回復する動きとなりました。ダウンサイドに複数のサポートポイントが並んでいる点(一目均衡表の分厚い雲が切り上がってきている点)や、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「強気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立している点、昨日の上昇で一目均衡表基準線・21日移動平均線・ボリンジャーミッドバンドを軒並み上抜けできた点などを踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは強い(前週末後半にかけての急落劇は上昇トレンドの過程で見られる一時的なポジション調整。今週は上昇トレンドの再開に期待)と判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる金融引き締め長期化観測(パウエルFRB議長は先週開催された米FOMC後の記者会見で「追加利上げ」の可能性について触れなかったものの、一方で「利下げ」の可能性についても強く否定→政策金利の「より高く・より長く」が意識されるため、米長期金利がこのままずるずると低下し続ける展開は想定しづらい)や、(2)日銀による金融緩和の長期化観測(植田日銀総裁は昨日、「イールドカーブコントロールの枠組みのもとで粘り強く金融緩和を継続し、経済活動を支え賃金が上昇しやすい環境整えることが政策運営の基本」「現時点では物価安定の目標の持続的・安定的な実現を十分な確度をもって見通せる状況には尚至っていない」と発言。これを受けて市場では日銀が年内に金融緩和脱却に動くことは無いとの見方が拡大)、(3)上記1、2を背景とした日米金融政策の方向性の違い(円キャリートレードの再開期待)など、ドル円相場の上昇トレンド再開を期待させる材料が揃っています。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル高・円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は米9月貿易収支や、カンザスシティ連銀シュミッド総裁、ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁、ダラス連銀ローガン総裁、米3年債入札などに注目が集まります。

⚪ドルインデックス(DXY)の日足チャート。米金利の低下が一服し、IG為替レポートで何度か取り上げた104.70レベル(5/31高値)の上で反発。しかし、MACDは地合いの強さが後退している状況を示唆する動き。104.70レベルをも下方ブレイクする場合は、また一つ米ドル高トレンドが転換するシグナルが点灯することになる。

⚪今日の注目イベントの一つが、オーストラリア準備銀行(RBA)の理事会。短期金融市場では53~4%の確率で利上げを織り込む状況に。しかし、豪ドル/米ドル(AUDUSD)は昨日のIG為替レポートで取り上げた0.6520レベルで見事に上昇が止められる展開に、金融政策は重要な材料です。が、豪ドル/米ドル(AUDUSD)のトレンドを左右する最大の要因はやはりリスク資産価格の動向。週明けの主要な欧州株式は下落。米国株は小幅に上昇するも上値の重い展開。

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