20231102朝 切り抜き

年初来高値更新後に反落。FOMC通過後の米金利低下がドル円の重石に

年初来高値更新後に反落。FOMC通過後の米金利低下がドル円の重石に

サマリー

〇ドル円、米FOMCの政策金利据え置き、パウエルFRB議長のハト派発言に150.66まで反落
〇ユーロドル、米国時間にかけ1.0518まで下落後、FOMC結果公表後は1.05台後半に持ち直す
〇ドル円、アジア時間の年初来高値151.74から急反落するもテクニカルの地合い崩れていない
〇ファンダメンタルズもドル円相場の上昇を連想させる材料揃う
〇ドル高・円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:150.25ー151.75

米ドル安を受け、昨日のドル円は反落。しかし150.66レベルでサポートされ、下落幅は限定的。

一方、ユーロドルは1.05を視野に下落幅が拡大する局面あり。

今日の注目材料は英中銀イベント。金利据え置きの予想が大勢。ポンド相場の動きに注目。

⚪米ドル相場の動向。米金利の低下と株高を受け米ドル安優勢の展開に。特に資源と関わりのある通貨で米ドル安が進行。しかし全面安とはならず。対ユーロ(ユーロドル)では、1.0516レベルまで米ドル高が進行する局面あり。

海外時間のレビュー

1日(水)のドル円相場は高値圏から反落。アジア時間早朝にかけて、年初来高値151.74を記録するも、一巡後に伸び悩むと、(1)急ピッチな上昇に対する反動売り(利食い売り)や、(2)円金利上昇に伴う円買い圧力、(3)神田財務官による「一方的で急激な動きを懸念している」「過度な変動に対してはあらゆる手段を排除せず適切な行動をとる」「介入を含めた準備状況はスタンバイ」との円安牽制発言、(4)上記4を背景とした政府・日銀による介入警戒感、(5)米10月ADP全米雇用報告(結果+11.3万人、予想+15.0万人)の市場予想を下回る結果、(6)米10月ISM製造業景況指数(結果46.7、予想49.0)の市場予想を下回る結果、

(7)米FOMCの政策金利据え置き決定(FF金利誘導目標を5.25ー5.50%で据え置き)、(8)パウエルFRB議長による「我々は長期金利の上昇に注意を払っている」「サイクルの終わりに近づいている」とのハト派的な見解発表(年内追加利上げ観測後退)、(9)米金利低下に伴うドル売り圧力が重石となり、米国時間午後にかけて、安値150.66まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間11/2午前5時50分現在)では、150.95前後で推移しております。

1日(水)のユーロドル相場は下落後に持ち直す展開。アジア時間早朝にかけて、高値1.0586まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)欧州経済の先行き不透明感や、(2)欧州債利回り低下に伴うユーロ売り圧力、(3)ECBによる金融引き締め終了の思惑が重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.0518まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)米FOMCによる政策金利の据え置き決定や、(5)パウエルFRBのハト派的な発言、(6)米金利低下に伴うドル売り圧力(年内追加利上げ観測後退→米10年債利回りが4.93%から4.75%へ急低下)、(7)欧州株の堅調推移が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間11/2午前5時50分現在)では、1.0570前後まで持ち直す動きとなっております。

本日の見通し

ドル円はアジア時間早朝に記録した年初来高値151.74をトップに反落に転じると、海外時間にかけて、一時150.66まで反落しました。急ピッチな上昇に対する反動が出てきたことや、政府・日銀による介入警戒感が高まったこと、米金利低下でドル売り圧力が強まったこと等がドル円下落の背景と考えられます。但し、ダウンサイドに複数のサポートポイントが並んでいることや、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「強気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは崩れていない(一巡後に再びドル買い・円売りが強まる公算大)と判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる金融引き締め長期化観測(パウエルFRB議長は追加利上げについて示唆しなかったものの、一方で「現時点では利下げについては全く考えていない」「委員会は利下げについて検討、協議していない」と利下げの可能性についても時期尚早であると一刀両断→政策金利の「より高く・より長く」が意識される展開)や、(2)日銀による金融緩和の長期化観測(植田日銀総裁は前日の記者会見で金融緩和の継続姿勢を再強調)、(3)日米金融政策の方向性の違いとそれに伴う円キャリートレードの継続期待(円売り安心感)、(4)政府・日銀による為替介入のやりにくさ(ドル高・円安の根本的な原因は日米金利差という典型的なファンダメンタルズ要因であるため、安易に為替介入に踏み切りづらい。10/31に公表された外国為替平衡操作の実施状況を見ても、政府・日銀は9/28ー10/27の期間で介入実績がゼロ)、

(5)株式市場の持ち直し期待(リスク選好の円売り圧力)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。本日以降は日米金融政策イベント通過に伴うアク抜け感も期待できることから、当方では引き続き、ドル高・円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします(昨年高値151.95の上方ブレイクを試すシナリオを想定)。尚、本日は米7ー9月期非農業部門労働生産性速報値や、米7ー9月期単位労働コスト速報値、米新規失業保険申請件数、米9月製造業受注指数、米9月耐久財受注確報値などが予定されております。

⚪S&P500の日足。61.8%の水準でサポートされ反発基調を維持。米債市場では長期ゾーン利回りが低下。VIX指数も20ポイント割れ。短期的な反発を相場を意識する状況に。200日線を突破すれば21日線そして50日線と、もう一段の上値トライが期待できる状況に。

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