20231031 朝 切り抜き

日経新聞の特報記事で大幅下落。本日は日銀金融政策決定会合がメインイベント

サマリー

〇ドル円、米金利上昇、欧米株の堅調に米国時間朝方にかけ149.90まで上昇
〇その後、「日銀、金利操作を再修正へ。長期金利1%超え柔軟に」との日経記事に148.81に急落
〇ユーロドル、欧州指標好調、欧州株堅調に米国時間に1.0625まで急伸
〇ドル円、主要テクニカルポイントの上側で推移、買いシグナルも継続、地合い強い
〇本日は日銀金融政策決定会合と植田日銀総裁記者会見に注目
〇展望レポートの経済見通し上方修正や、イールドカーブコントロールの再修正要警戒
〇一巡後は円売り圧力が強まり、ドル円が大きく値を上げるシナリオを想定
〇本日の予想レンジ:148.00ー151.00

昨日の振返り

週明け30日(月)のドル円相場は大幅下落。(1)中東情勢を巡る地政学的リスクの高まり(イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザへの攻撃強化)や、(2)上記1を背景とした伝統的金融市場のリスク回避ムード(日経平均株価下落→リスク回避の円買い圧力)、(3)円金利上昇に伴う円買い圧力(日銀による金融緩和修正の思惑)が重石となり、欧州時間朝方にかけて、一時149.28まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)米金利上昇に伴うドル買い圧力(米10年債利回りが4.83%から4.91%まで急上昇)や、(5)欧米株の堅調推移(リスク選好の円売り再開)、(6)日米金融政策イベントを控えたポジション調整が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値149.90まで上昇しました。

もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(7)心理的節目150.00を背にした戻り売り圧力や、(8)日経新聞による「日銀、金利操作を再修正へ。長期金利1%超え柔軟に」との特報記事、(9)上記8を背景としたドル円ロング勢の大規模ストップSELL(日銀による金融緩和の修正観測→円ショート手仕舞い)が重石となり、日本時間0時過ぎに、安値148.81まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間10/31午前5時45分現在)では、149.15前後で推移しております。

週明け30日(月)のユーロドル相場は堅調な値動き。(1)中東情勢を巡る地政学的リスクの高まりや、(2)伝統的金融市場のリスク回避ムード、(3)ECBによる金融引き締め終了の思惑(クロアチア中銀ブイチッチ総裁による「当面の利上げは終了した」との発言や、リトアニア中銀シムカス総裁による「12月会合で金利を引き上げる必要は恐らくないだろう」との発言)が重石となり、欧州時間朝方にかけて、安値1.0547まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)スロバキア中銀カジミール総裁による「利上げサイクルが終了したと宣言するのは時期尚早」とのタカ派的な発言や、(5)ドイツ7ー9月期GDP速報値(結果▲0.8%、予想▲1.0%)の市場予想を上回る結果、

(6)ユーロ圏10月経済信頼感(結果93.3、予想93.0)の市場予想を上回る結果、(7)ユーロ圏10月サービス業信頼感(結果+4.5、予想+3.4)の市場予想を上回る結果、(8)ユーロ圏10月鉱工業信頼感(結果▲9.3、予想▲9.5)の市場予想を上回る結果、(9)欧州株の堅調推移、(10)欧州債利回り上昇に伴うユーロ買い圧力が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値1.0625まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間10/31午前5時45分現在)では、1.0615前後で推移しております。尚、昨日発表されたドイツ10月HICP(結果+3.0%、予想+3.3%I)は市場予想を下回る結果となりましたが、市場の反応は限られました。

本日の見通し

ドル円は10/26に記録した年初来高値150.79をトップに反落に転じると、昨日は重要イベント(日銀金融政策決定会合および米FOMC)を控えたポジション調整も相俟って、一時148.81まで急落しました。但し、ダウンサイドに複数にサポートポイントが並んでいることや、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「強気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは強い(日米金融政策イベント通過後に再び上昇トレンドが強まる可能性が高い)と判断できます。こうした中、本日は日銀金融政策決定会合と植田日銀総裁記者会見に注目が集まります。各種メディアが報じている通り、市場参加者の間では、展望レポートの上方修正や、イールドカーブコントロールの再修正が警戒されています(日経新聞の特報記事によると、長期金利の1%超えを容認する案が浮上)。

但し、仮に展望レポートの上方修正(2023年度や2024年度のみならず2025年度も上方修正される場合)や、イールドカーブコントロールの再修正(イールドカーブコントロールの0.5%の目途値撤廃)がなされたとしても、日米金利差が一気に埋まるわけでは無いため(円キャリートレードの経済合理性が失われるわけではないため)、一巡後は円売り圧力が強まるシナリオ(ヘッドライン後に日本国債の利回り曲線スティープ化→本邦10年債利回り1%の大台突破→円高進行→怒涛の押し目買い→円売り再開)が想定されます(※イールドカーブコントロールの目途値撤廃に加えてマイナス金利政策の撤廃を組み合わせた大胆な政策変更がなされる場合には、ドル円が10円超の値幅で急落するシナリオもあり得る)。

もっとも、当方は現行政策の現状維持(unchange)を見ていることから、ドル円が日銀金融政策決定会合後に大きく値を上げるシナリオを想定いたします。

本日の予想レンジ:148.00ー151.00

ドル円(USDJPY)の5分足。昨日の円高の動きから現時点まで。23時に日経オンライン版でYCC再修正議論の観測報道が流れ、149.76レベルから148.80レベルへ下落。その後149円台へ反発するも、現状戻りに勢いなし。日銀イベントにらみのムードに

政策修正の思惑でドル円は21日線をブレイクし、148.80レベルまで下落する局面あり。一方、ユーロドルは21日線にサポートされ1.06台へと反発。今日は日銀イベントの他、米欧中の経済指標も相場の変動要因に。

米長期金利は高止まり。米財務省の国債発行計画(11月から24年1月までの計画)や10月雇用統計の内容次第では、5%を再びトライそして上方ブレイクする可能性があり。

ユーロドル(EURUSD)の日足チャート。21日線とトレンドチャネルの下限にサポートされ1.06台へ上昇。サポートとしての1.05レベルの存在感も増す展開に。焦点は50日線やトレンドチャネルの上限、そして1.07や1.0750で反発が止められるかどうか。まずはFOMC後の反応が焦点に。

ドル円(USDJPY)の日足チャート。IG為替レポートで取り上げた21日線をローソク足の実体で下方ブレイク。下値トライのムードが高まる状況に。次の焦点は50日線と148.00。日銀イベントで148円をブレイクする場合は、147.30-58ゾーンの攻防となるか、この点に注目しています。

ドル円、今後の予想

今週、意識したい円高サポート帯は148円台中盤。
その手前、149円台中盤にも第一の軽めのサポート帯がありますが、
重要なのは148円台中盤。

今週もしもですが、その重要サポート帯を割り込むようなことになれば
久しぶりに調整局面(円高局面)に入る可能性が高まると考えられます。

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