20231024 朝

ドル円、心理的節目150.00をバックに上値重く推移。米長期金利の低下もドル円の重石に

サマリー

昨日の外為市場は米金利の低下を受け米ドル安優勢の展開に。ドル円は149.55レベルまで反落。ユーロドルは1.07台を目指すムード。今日の注目材料は、米英欧の購買担当者景気指数(PMI)。

〇ドル円、欧州時間朝方にかけ150.00まで上昇するも149円台半ばに反落
〇米著名投資家ビル・アックマン氏による米債ショート解消の噂に米長期金利低下
〇ユーロドル、欧州差し利回り上昇、欧州指標好調等に米国時間に高値1.0678まで急伸
〇ドル円は高値圏での一進一退続く、テクニカルには下値余地は限定的か
〇日米金融政策の方向性の違いは引き続きドル円をサポート
〇引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:149.25ー150.25

ドル/円レビュー

週明け23日(月)のドル円相場は上値の重い展開。(1)日米金融政策の方向性の違いや、(2)上記1を背景とした円キャリートレード継続期待、(3)NYカットオプションの有名足150.00に絡んだマグネット効果が支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、高値150.00まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)政府・日銀による介入警戒感や、(5)日銀による金融緩和の修正観測(日本経済新聞社は10/22付朝刊に「月末の金融政策決定会合で日銀がYCCの再修正を議論する可能性」と報道→円金利上昇→円買い)、

(6)米著名投資家ビル・アックマン氏による米債ショート解消の噂(現在の相場水準で長期債ショートを維持することはリスクが大き過ぎるとの判断)や、(7)米金利低下に伴うドル売り圧力、(8)米モルガン・スタンレー社による米ドルに対する見方の強気からニュートラルへの転換発表が重石となり、米国時間午後にかけて、安値149.55まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間10/24午前5時40分現在)では、149.69前後で推移しております。尚、昨日発表された米9月シカゴ連銀全米活動指数(結果+0.02、予想▲0.14)は市場予想を上回る結果となりましたが、ドル買いでの反応は限定的となりました。

ユロドル レビュー

週明け23日(月)のユーロドル相場は堅調な値動き。アジア時間午後にかけて、安値1.0572まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)欧州債利回り上昇に伴うユーロ買い圧力や、(2)ユーロ圏10月消費者信頼感指数速報値(結果▲17.9、予想▲18.3)の市場予想を上回る結果、(3)米金利低下に伴うドル売り圧力、(4)直近高値(10/12に記録した高値1.0640)突破に伴う仕掛け的なユーロ買い圧力、(5)ECB理事会を控えたポジション調整(ショートカバー)が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値1.0678(9/20以来、約1カ月ぶり高値圏)まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、1.0669前後で推移しております。

米ドル安にサポートされ、ユーロドルは反発基調を維持している
・今日も上値をトライする場合は、50日線の突破と1.07台への上昇が焦点に
・ユーロドルの反落局面では、1.06の維持と21日線の攻防に注目したい

ユーロドル、今日の見通しとチャートポイント

ユーロドル(EUR/USD)は昨日、「米金利の低下→米ドル安」にサポートされ、相場の戻りを止めた経緯のある1.0635レベルを大陽線で一気に上方ブレイクした。

MACDはゼロライン以下で推移しているもののゴールデンクロスが確認され、トレンドは上昇基調にある。また、21日線(今日現在1.0561レベル)がサポートラインへ転換するムードにある。

今日も米債市場でショートカバーが続く場合、ユーロドルは米ドル安にサポートされ、反発基調を維持することが予想される。このケースで注目したいのが、昨日の上昇を止めた50日線の攻防である。この移動平均線は今日現在、1.0679レベルで推移している。

ユーロドルが50日線を完全に突破する場合は、1.07台への上昇が次の焦点として浮上しよう。

ユーロドルが1.07台の攻防となる場合は、レジスタンスへ転換する可能性のある1.0750レベルの攻防となるかどうか?この点に注目したい。ユーロドルが50日線の突破に成功してもこのレベル(1.07ミドルの水準)で反落する場合は、現在の反発相場が一服する可能性が浮上しよう。

一方、米金利の反発や今日の10月購買担当者景気指数(PMI)速報値がユーロ売り・米ドル買いの要因となる場合は、1.06台の維持が焦点となろう。

ユーロドルが1.05台へ反落する場合は、21日線がサポートラインとして意識されるかどうか?この点を確認したい。21日線がユーロドルをサポートする場合は、現在形成されつつある短期サポートラインの説明力が増すことになる。

ドルインデックス

ドルインデックス日足チャート。トレンドチャネルの下限を陰線で下方ブレイク。21日線が抵抗ラインへ転換するムード。目先の焦点は、23.6%の水準105.51レベルの攻防。この水準の下方ブレイクは、テクニカルの面で米ドル高トレンドのさらなる調整シグナルに。そして、5月31日高値の104.70レベルなどの重要ポイントなどを次々と下方ブレイクし、米ドル高トレンドの調整シグナルが重なれば、米ドル高トレンドの転換を意識する必要が出てきます。

本日の見通し

ドル円は高値圏での一進一退(10/3に記録した年初来高値150.16を抜けそうで抜けられない状態)が続いています。昨日も米金利低下に伴うドル売り圧力や、対ユーロでのドル売り圧力が重石となり、日通し高値150.00から149.55まで反落する動きとなりました。但し、ダウンサイドに複数のテクニカルポイントが並んでいることや、強い買いシグナルを示唆する「強気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、下値余地は限定的と判断できます。米著名投資家ビル・アックマン氏による米債ショート解消の噂や、米モルガン・スタンレー社による米ドルに対する見通しの転換(強気からニュートラル)など、気になるヘッドラインが出てきていますが、日米金融政策の方向性の違い(日米金利差に着目したドル買い・円売り)といった明らかなファンダメンタルズ要因が残っている限り、こうした逆張りニュースに動じる必要性は無いと考えています。

また、足元では今月末に予定されている日銀金融政策決定会合での政策修正の思惑も高まっていますが、例え政策修正(YCC撤廃やマイナス金利脱却)に踏み切ったとしても、マーケットの反応は一時的なものに留まると考えられます(日米金利差が一気に縮まるわけでは無いため、円高での反応はせいぜい1週間程度に留まる公算大)。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は欧州圏のPMI速報値(仏10月製造業・非製造業PMI速報値、独10月製造業・非製造業PMI速報値、ユーロ圏10月製造業・非製造業PMI速報値、英10月製造業・非製造業PMI速報値)に加えて、米10月製造業・非製造業PMI速報値や、米10月リッチモンド連銀製造業指数、米2年債入札などに注目が集まります。

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