サマリー
・8月の米CPIは強弱まちまちの内容となった
・8月CPIに米金利は低下で反応するもドル円は底堅さを維持している
・ドル円は今日も米経済指標にらみの展開が続くだろう
・注目しておきたい上下のチャートポイントについ
ドル円、市場予想を上回る米CPIを受けて一時上昇するも、年初来高値に一歩届かず
〇ドル円、米8月CPIの市場予想を上回る結果に米国時間に147.74まで上昇
〇買い一巡後は失速、CPIコアの鈍化や米長期金利の急低下に147円台半ばに反落
〇ユーロドル1.07台前半中心の動きでECB理事会待ち
〇ドル円、主要テクニカルポイントの上で推移、買いシグナルも継続、強い地合いを維持
〇ファンダメンタルズも日米金融政策格差と円キャリートレードの継続期待がサポート
〇引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日、米8月小売売上高、生産者物価指数、米新規失業保険申請件数など重要指標多い
〇ECB理事会結果からのユーロドルの変動のドル円への波及にも注意
〇本日の予想レンジ:146.50ー148.00
ドル円、今日の見通しとチャートポイント
上値の焦点は147.80の攻防
ドル円(USD/JPY)は、上値をトライする状況が続いている。
昨日の米債市場では2年債、5年債そして10年債の各利回りが小幅ながらも低下し上昇が抑制された。それでもドル円が陽線引けとなった状況は、地合いの強さを示唆している。
だが、日足ローソクは上影陽線のかたちとなっている(下の日足テクニカルチャートを参照)。高値圏での上影陽線は反落の可能性を示唆している。この点については、ドル・プットへの傾きが続いているリスクリバーサルの動向も示唆している
今日もドル円が上昇トレンドを維持する場合、目先の焦点は147.80レベルの突破となろう。この水準を上方ブレイクする局面は見られるが、日足ローソク足の実体ベースでは突破に失敗し続けている。昨日は147.74レベルで上昇が止められ、147.80台での上値の重さがあらためて示された。
ドル円がこの水準(147.80台)を完全に突破する場合は、148.00レベルのトライそしてブレイクアウトが焦点として浮上しよう。
今日の注目材料は8月の米小売売上高
イエレン米財務長官は10日、労働市場に大きな打撃を与えることなくインフレを抑制できること、そして景気後退(リセッション)の回避について非常に良い感触を持っていると述べた。
イエレン氏が言及した米国景気の先行きを考える上で、個人消費の動向は非常に重要である。今日は8月の米小売売上高が発表される。堅調な個人消費が確認される場合は、「米ドル買い→ドル円の上昇」を想定しておきたい。
逆に、8月の小売売上高が市場予想を下回れば景気の先行き懸念が意識され、米金利には低下の圧力が高まることが予想される。このケースでは、「米金利の低下→米ドル安→ドル円の反落」を予想する。
さえない8月の小売売上高に加えて、週間の新規失業保険申請件数が労働市場の軟化を示す場合は、米金利の低下幅が拡大しよう。このケースでは、ドル円の下落幅が拡大することが予想される。
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